偽王子と、甘い偽恋
数日の話だと思い込んで待ち続けて、すでに二週間が経過していた。
失踪した初日に送ったメッセージには、いまだに返事がない。
仕事中も、気づけばスマートフォンを時折覗き込んでしまうほど、臣くんのことが気にかかっている。全く仕事に集中ができない。
幾度目かの溜息を零すと、隣に座る渋谷さんが露骨に顔を顰めた。
「なあ、それやめて」
「え?」
「溜息。めちゃくちゃ聞こえてるから」
そう言われ、慌てて口元を両手で抑えた。
自分では、そんなに溜息を垂れ流しているつもりはなかったのに。
「…すみません」
わかりやすく落ち込む私に、渋谷さんは顔を顰めたまま、どこか呆れたように口を開けてこちらを見ている。
そんな彼の表情に、私も思わず眉を寄せた。
「何ですか。そのあほ面は」
「先輩に対して吐くセリフではねぇけど、ある意味いつも通りで安心したわ」
渋谷さんはそう吐き捨てると、すぐに業務へと戻っていく。
プライベートを仕事に持ち込むのはよくない。
そんな常識的なことは、痛いほど分かっている。
だけど、感情はそう簡単にはいかない。
引きずるなと言われても、どうしても引っ張られてしまう。
今の私には、感情の制御がうまく機能していなかった。
失踪した初日に送ったメッセージには、いまだに返事がない。
仕事中も、気づけばスマートフォンを時折覗き込んでしまうほど、臣くんのことが気にかかっている。全く仕事に集中ができない。
幾度目かの溜息を零すと、隣に座る渋谷さんが露骨に顔を顰めた。
「なあ、それやめて」
「え?」
「溜息。めちゃくちゃ聞こえてるから」
そう言われ、慌てて口元を両手で抑えた。
自分では、そんなに溜息を垂れ流しているつもりはなかったのに。
「…すみません」
わかりやすく落ち込む私に、渋谷さんは顔を顰めたまま、どこか呆れたように口を開けてこちらを見ている。
そんな彼の表情に、私も思わず眉を寄せた。
「何ですか。そのあほ面は」
「先輩に対して吐くセリフではねぇけど、ある意味いつも通りで安心したわ」
渋谷さんはそう吐き捨てると、すぐに業務へと戻っていく。
プライベートを仕事に持ち込むのはよくない。
そんな常識的なことは、痛いほど分かっている。
だけど、感情はそう簡単にはいかない。
引きずるなと言われても、どうしても引っ張られてしまう。
今の私には、感情の制御がうまく機能していなかった。