偽王子と、甘い偽恋
────Side 本田 りりか
十四時の情報番組。
あの有名な大手電機メーカーのグループ。
そのグループの御曹司が次期後継者になるという記者会見。
そこに現れたのは、この家で共に過ごしていたはずの…、
────臣くんだった。
「え…!?」
思わず、静かな部屋の中で一人、大きな声が漏れた。
画面の中の彼は、穏やかな笑みを浮かべて壇上に立っている。
『ご紹介に与りました。千早 臣です』
聞き慣れたはずの、猫を被った彼の声。
それなのに、今の彼は随分と遠い世界の人に見えた。
そもそも、私とは住む世界が違いすぎたみたい。
カフェ店員として穏やかな表情で働く彼の姿しか知らなかった。実は大手電機メーカーグループの御曹司だったなんて、想像もつかなかった。
そんな雲の上の存在に私が恋をするなんて、許されるはずがなかった。
それから先、彼が何を話していたのかは分からなかった。
耳に声は残っているのに、言葉がどうしても頭に入ってこなくて。
気づけば、自然と目から涙がこぼれていた。
彼は本当に、お姫様を迎えに行く王子様のような…、そんなおとぎ話の中の人物のように、遠い存在の人だった。
そんなことなら、王子様になんて恋しなくてよかった。
もっと近い距離感で、恋をしてもいい人と一緒にいたかった。
そう思うのに、一度膨れ上がってしまった気持ちは、もう簡単には手放せない。
どうしようもなく、胸が締め付けられるように痛かった。
十四時の情報番組。
あの有名な大手電機メーカーのグループ。
そのグループの御曹司が次期後継者になるという記者会見。
そこに現れたのは、この家で共に過ごしていたはずの…、
────臣くんだった。
「え…!?」
思わず、静かな部屋の中で一人、大きな声が漏れた。
画面の中の彼は、穏やかな笑みを浮かべて壇上に立っている。
『ご紹介に与りました。千早 臣です』
聞き慣れたはずの、猫を被った彼の声。
それなのに、今の彼は随分と遠い世界の人に見えた。
そもそも、私とは住む世界が違いすぎたみたい。
カフェ店員として穏やかな表情で働く彼の姿しか知らなかった。実は大手電機メーカーグループの御曹司だったなんて、想像もつかなかった。
そんな雲の上の存在に私が恋をするなんて、許されるはずがなかった。
それから先、彼が何を話していたのかは分からなかった。
耳に声は残っているのに、言葉がどうしても頭に入ってこなくて。
気づけば、自然と目から涙がこぼれていた。
彼は本当に、お姫様を迎えに行く王子様のような…、そんなおとぎ話の中の人物のように、遠い存在の人だった。
そんなことなら、王子様になんて恋しなくてよかった。
もっと近い距離感で、恋をしてもいい人と一緒にいたかった。
そう思うのに、一度膨れ上がってしまった気持ちは、もう簡単には手放せない。
どうしようもなく、胸が締め付けられるように痛かった。