偽王子と、甘い偽恋
腹黒王子は白馬の王子様?
そんな悲痛な声を零した瞬間、玄関の鍵が回る音がして、ドアが開くのが聞こえた。
ハッとして、スマートフォンを耳に当てたまま玄関の方を向く。
この家の鍵を持っているのは、私と、そして…。
────臣くんしかいない。
だから、迷わず駆け寄った。
そこには、見慣れないスーツ姿の臣くんがいた。のんきに靴を脱いでいる姿は、あんなに会いたかったはずなのに、驚くほど日常的で、感動の再会のはずなのに、涙を流しながらも、思わず笑みがこぼれてしまった。
「…ふっ」
「うわ、すげぇ顔」
「もう、本当、最悪…」
こんな時に帰ってくるなんて思わなかった。
こんなひどい顔を見られたくなかった。
それでも、私は抑えきれずに彼へと駆け寄り、その体に飛びついた。その瞬間、臣くんはしっかりと私を受け止め、壊れそうなほど強く抱きしめてくれた。ずっと、こんな風に触れたかった。
「ずっと、待ってた…!」
「…ごめんな」
私の頭をぽんぽんと優しく撫でながら、彼は髪に顔を埋めた。それから、髪をそっとどかせると、剥き出しになった首筋に唇を寄せる。
慈しむように何度も、何度も、私の肌に愛おしさを落としていく。
「会いたかった。俺もずっと」
普段はそんなこと素直に言わないくせに、ここぞとばかりに切ない声で耳元で囁くなんて、本当にずるい。怒りたいことも、聞きたいことも山ほどあるのに、その声一つで、私はすべてを許してしまいそうになる。
ハッとして、スマートフォンを耳に当てたまま玄関の方を向く。
この家の鍵を持っているのは、私と、そして…。
────臣くんしかいない。
だから、迷わず駆け寄った。
そこには、見慣れないスーツ姿の臣くんがいた。のんきに靴を脱いでいる姿は、あんなに会いたかったはずなのに、驚くほど日常的で、感動の再会のはずなのに、涙を流しながらも、思わず笑みがこぼれてしまった。
「…ふっ」
「うわ、すげぇ顔」
「もう、本当、最悪…」
こんな時に帰ってくるなんて思わなかった。
こんなひどい顔を見られたくなかった。
それでも、私は抑えきれずに彼へと駆け寄り、その体に飛びついた。その瞬間、臣くんはしっかりと私を受け止め、壊れそうなほど強く抱きしめてくれた。ずっと、こんな風に触れたかった。
「ずっと、待ってた…!」
「…ごめんな」
私の頭をぽんぽんと優しく撫でながら、彼は髪に顔を埋めた。それから、髪をそっとどかせると、剥き出しになった首筋に唇を寄せる。
慈しむように何度も、何度も、私の肌に愛おしさを落としていく。
「会いたかった。俺もずっと」
普段はそんなこと素直に言わないくせに、ここぞとばかりに切ない声で耳元で囁くなんて、本当にずるい。怒りたいことも、聞きたいことも山ほどあるのに、その声一つで、私はすべてを許してしまいそうになる。