初恋が始まるとき。
Episode10
「何でそんなことになってんの?」


 呆れた声でツッコむ結愛お姉様。

 ゴールデンウィーク期間カフェで結愛さんと紬さんと3人で集まってここ最近の報告をしている、怒られている子供状態の私。気まずくて仕方がない。


「な、なんででしょうね」

「てか、何であんたらまだうじうじやってんの?そこまで来たら両想いじゃないの?付き合えば?」

「リョウオモイ?ナンデスカ?ソレハ。オイシイデスカ?」

「優菜?」

「はい、すみません姉御」


 ふざけてたら怒られそうな雰囲気を感じ、素直に謝ると結愛の姉様は腕を組んで私を見ており、紬さんは苦笑いしながら聞いている。

 両思いだとは思えない。私はきっと誰かと付き合われるのが嫌だとか、誰かが好きだと言っている事に対してもやもやしたものを感じる辺り、好きだと認めるしかないところまで来ていると思う。

 だけど渋谷さんは?恋をする時最初が渋谷さんならと言っていたけれど、大事な気持ちを何も知らない。手練れな渋谷さんに遊ばれているだけな気もする。


「…本気で両思いだとは思えないんですよね~」


 そう呟く私に結愛さんは呆れた表情をしていた。
 紬さんはカフェオレのカップを両手で持ちながら私の方を見ている。

 今まで私の話を聞いて見守ってくれていた紬さん。
 私の呟きを見て軽く微笑み、カップを置く。


「うーん、不安な気持ちはわかるけど、もう少し渋谷くんの事見て決めたらどうかな?気持ちを最初から伝えることを早々に諦めて後悔しない?」

「え?」

「見なきゃいけない物を見逃して諦めたらきっと後悔すると思うな」

「…でも、見たくない物を見て後悔、もあると思わない?」

「知らなくて良い事、は確かにあるかもしれないけれどさ、優菜ちゃんは今、たくさんの事を見逃してると思う。だから、見逃さないで、もう少し見ていてほしいな」


 紬さんの柔らかい声で発せられた優しい言葉。

 そう言われても私には理解出来なかった。
 たくさんのことを見逃しているって、何のこと?
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