初恋が始まるとき。
 2度目の渋谷さんの家は、あの日のまま変わっていなくて、余計に照れくさくなった。泊まって起きたら、抱き締められたまま目を覚ますなんてことを思い出し、顔が熱くなった。


「何飲む?いろいろ買ったけど」

「あ、じゃあ、チューハイにします」


 いろいろと取り出している渋谷さんの手にチューハイが握られているのを見て、適当にそれをチョイスした。アルコールを体内に入れることが出来るなら、何だって良かった。

 渋谷さんは私の4%のアルコールが入ったチューハイと、渋谷さんのハイボールを持ち、リビングに戻ってくるとそのままオードブルを広げ、ソファに隣同士で座る。

 そこそこの広さのソファなはずなのに、距離が近い様な気がして、緊張が収まらなかった。

 お互いに缶のプルタブを捻り開け、プシュッと炭酸が抜ける音がしたのを確認すると軽く缶をぶつけ合うと乾杯を交わす。

 小皿の上におかずをいくつか取り寄せ、食べながらアルコールを体内に摂取するもテレビから流れてくる音があるだけで私達の間に会話はない。

 話す事がないわけではない。だけどこの時まで何から話すか、どのタイミングで話すかまで駆け引きをしている様な気分になる。どっちから話すかなんてそんな細かい事まで。
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