初恋が始まるとき。
「何で妬いた?」


 そう言いながら距離を縮めてくる渋谷さんに顔を背ける。

 自分が有利になったからって急に強気になりやがってと、軽く舌打ちする。

 何も言わない私に少し笑って大きな手で軽く頭を撫でてくる。


「あの子は、俺なんか好きじゃない」

「は…?」

「あの子面食いだから」


 まさかの言葉に唖然とする。

 MENKUI?めんくい?面食い?

 頭の中で整理をするも困惑していると渋谷さんは笑っていた。


「…へ?」

「言われた。俺の顔は好きだけど、別に性格は好きじゃないって。デートに誘ったのも良い顔した男を隣につけてブランド物を見せびらかすみたいな気分で歩きたかっただけらしい」

「な、なんですかそれは」

「さあ?俺にはよくわかんねぇけど」


 渋谷さんの説明に唖然としていると、全然納得できない理由が出てきた。


「い、いやいや、何か飲み会の帰りみたいな時に抱き着かれてましたよね?しかも本田さんに渋谷さんとの関係を聞かれた時説明したら安心した顔されたり、気になる人がいてデート誘うって本人から聞いたし!」

「本田さんと話した事は知らねぇけど、抱き着かれたのはそういうテクニックだろ。怖いよな。顔の良い男を捕まえるために酔ったふりして抱き着いてくるんだから」

「え、ええ」


 何もかも衝撃的過ぎて理解が追い付かない。もしかして本田さんって、悪い女なのだろうか。
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