初恋が始まるとき。
本田 りりか 番外編
 私は正直言ってモテる。

 どんな冒頭かと思われるかもしれないが、私は自分で王道ヒロインだと思っていた。元気で明るくて頑張り屋で可愛いヒロイン。

 そこに欠かせないのはイケメンの王子様。だから、最初に教育係と対面した時、あまりにもイケメン過ぎてこの人を手放したくないと本能的に思った。まるで狩猟対象を見付けた様に。

 顔はタイプのど真ん中。それでいて営業職。文句なしに王道ヒロインにふさわしい王子様じゃない!?なんて思っていた。

 その中で必ず出てくるのはライバル的存在の女性。渋谷さんから経理課の佐々木さんって女性に精算書を持って行けと言われた時は、そのライバルと対峙の時だと思っていた…、のだが何日経っても驚く程クールで控えめな女性。

 渋谷さんの前では違うの…?と思っていたら、確かに違ったけれど驚く程雑に扱っている。最初、ただ自分が年下だから精算を頼みやすいだけだと言っているのを聞いて、付き合っているわけではないのかと安堵したのだけれど、それどころかとんでもない強敵だった。

 渋谷さんは私の前で本当の笑顔を見せてくれはしなかった。どこか作ったような、そんな笑顔。最初はそうだったかもしれないけれど、段々私の一生懸命さに惹かれるんじゃ…!?なんて私の中でストーリーは立っていたはずなのにことごとく崩れた。
< 130 / 132 >

この作品をシェア

pagetop