初恋が始まるとき。
 まず王子様は、堂々とヒロインを置いて嬉しそうにライバルの元へ行かない。多少仲がいいとかはあってもそれでも王道溺愛ストーリーは、ヒロインを優先する物じゃないの!?と、思っていた。

 せめて「あ、でも本田さんと昼なんだ…」みたいな雰囲気は出せよと思った所か、渋谷さんは佐々木さんを見るなり私の方を見て「ガキじゃないから1人で飯取れるよね?」と堂々と真っ黒な笑みで私をその場に置いて佐々木さんの元へうきうきとした足取りで向かった。

 この時点で呆然としたが、この時まではまだ戻せると思った。

 それからこの可愛いと言われる私がデートを誘ったり、抱き着いてアピールしたのに、渋谷さんは動揺1つするどころか、はっきり牽制をしていた。

 デートに誘った時には「俺、興味ない女と1日一緒に居るの苦痛なんだよね」と物凄く良い笑顔で言われた時は、あ、王子様なんかじゃない。ただの王子の面を被った悪魔だと思った。

 こんな雑な扱いを受けた事が無い私は、最初は驚いたがすぐに諦めがついた。

 ああ、これは王道ヒロインの相手にふさわしくない、と。
 その後出てくる出てくる女性との関係に、クズな噂。

 溺愛してくれる王子様なんかじゃなかった。
< 131 / 132 >

この作品をシェア

pagetop