初恋が始まるとき。
「な…、は…!?」

「何キスくらいでそんな動揺してんの?どうせ誰にもやる気の無かったファーストキスだろ。特別な気持ちもないんだろうし、良くね?」


 平然とそう言いながら、デスクに凭れ掛かり私の反応を楽しそうに見ていた。私が困惑したり動揺したり、感情が揺れ動く瞬間を見てからかってたのしんできている。

 こんな経験当然ないから、どうしたらいいかわからなくなった。
 だけど、このせいで余計男性が…、というか渋谷さんが嫌いになった。

 自分勝手に人の気持ちや行動で遊んで、自分が楽しめたら良い人間、それが渋谷 瑛都という男なのだと。


「まじで、気持ち悪い」

「何が?キスが?男が?」

「全部!あんたという男がです!大嫌い!」


 そう言い放って冷静にはなれずオフィスから出て行く。
 今思えばこの時の事も、この男の思惑通りだったのでは無いかと思う。

 楽しそうに笑っていたあいつの表情が頭から離れなくて、給湯室でそのまま水道の水を出し化粧の事も気にせず洗う。

 最低最悪、絶対に忘れられない出来事になった。
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