初恋が始まるとき。
「どういうことですか、先輩…!」

「ごめん…、好物件の男を紹介する代わりに、合コンに佐々木ちゃん連れて来てって渋谷くんが…」

「だからって、男嫌いって知ってますよね!?」

「知ってるんだけど、許して…!私もチャンスだし、佐々木ちゃん正直に言ったら来なかったでしょ…?」

「そりゃあね!だからってこんな騙し方!」


 先輩と小さな声で言い合いながら、思わず頭を抱えそうになる。

 今度から仲がいい人でも迂闊に信用をするのはやめようと言うのを教訓にしたいと思う。特に男が絡んだ時の女の友情など何も宛にならないのだと言う事がよくわかった。

 このまま帰っても良かったが女性陣は同じ会社の人だ。ここで帰宅し、空気を壊して仕事にまで影響が出るのはごめんだ。

 この状況を見越して先輩を使って私を呼び出したあのクソ男…、渋谷さんを本気で殴ってやりたい。顔の原型が無くなるくらいにまで。

 そう思いながら睨みつけていると目が合い、手を振られ全力で舌打ちした。

 誰が手なんか振り返してやるか。
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