初恋が始まるとき。
 そんな流れで渋谷さんとボウリングに来たわけだけど、行きなれてる分上手いんじゃなんて思っていたら案の定で少しイラっとした。

 ストライクを取り、ハイタッチを求めてくる目の前の男をじとっとした目で眺めていると首を傾げている。


「なん、その顔。そんな顔でボウリングくる女の子いないんだけど」

「なんでも出来て腹立つなと思って。できないことないんですか」

「裁縫とか?シャツの袖のボタンとか外れたら女の子に頼んでたし」

「モテエピいらないんですよ。女性と出かけてるときに、別の女性の話すんなよ」

「嫉妬?」

「そんなんでするか」


 思わずツッコみに遠慮がなくなり呆れる。気付けばボウリングもせずにそんなバカみたいな話をして私達は何をしてるのか。

 呆れつつも自分の番が来て立ち上がる。


「ボウリングよく来る?」

「あんまり行かないです。まわりの友達はカフェ巡り~、みたいなんが好きな友人が多いですし、後は、紬さんと結愛さんと遊びますけど、買い物とかが多いですし」

「佐々木と一ノ瀬まだ続いてるんだ。黒崎も関わりあったんだ?」

「お兄ちゃんと紬さんは今年には結婚します。結愛さんは、紬さんと仲いいので時々混ぜてもらってるんです」

「へー、すげぇな。高校からの付き合いで結婚か~」


 黒崎さんとは、結愛さんの旧姓である。
 現在は結婚して東雲さんに変わっている。

 渋谷さんが呟いているのを聞きながらボウリングの球を転がす。ボールに勢いがなくふらふらしていたがガターにはならず、4本ほど倒す。

 それを見て渋谷さんが後ろから「おー」と声を漏らしていた。
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