初恋が始まるとき。
 そのまま車で移動して、渋谷さんの予約していたレストランまできた。

 ドレスコードは特になく、それでも人気のある有名な少しお高めのレストラン。

 恋人たちが来るような場所をどうしてこの人が私の為に予約したのかわからない。

 目の前に座る渋谷さんを見ていると、軽く注文を済ませ私の方に向いて首を傾げる。


「何?フレンチ気に入らない?」

「いや、そうじゃなくて…、何でこんな素敵なところ?」


 そう問いかけると「ああ」と声を零して少し笑う。


「…昼間からエンジン全開だと引かれるかなと思ったけど、夜くらいべったべたの定番なデートしてやろうと思って」

「何で?」

「今後俺以外の男とデートするかわかんないけどさ、ロマンチックな思い出作っておけば、次の男とデートした時俺の事を少なからず少しは思い出しそうだし、俺だけだったとしても良かったなって言える思い出にしときたいじゃん」


 私の中でのデートが初めてだから、少なからず次回があったら確かにこのデートを思い出し、比べてしまうかもしれない。

 それに今日はたくさんの感情を受けたから、私にとっても特別なデートな事には間違いない。

 こんな風に忘れられないようにさせられるなんて、予想外だった。
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