初恋が始まるとき。
「いつも女性にこんなことしてるんですか?」

「何で?別に他はどうでもいいでしょ。何ならいつ切れてもいいような関係しか作ってないし」

「わからないんですよ。私だけ、他の女性と違う理由が」


 ずっと気になっていたことをようやく口に出すと、渋谷さんはほんの少し笑みをこぼす。


「…その話、夕食の後にしない?まずは何も考えず美味しいごはん食べてほしいし」


 話をうまく流された気がした。

 確かに夕食時にするような話ではなかったと思う。
 タイミングの悪さはあったけれど、どうしても今知りたかったのに。

 私が男性に落ちないと言ったからゲーム感覚で私に関わってきているのか、それとも別に何か思惑があるのか。

 自分とのデート中に他の女性の話をするなといったのは私なのに、どうしても気になる。

 だってこの人は、私がいなくても相手に困らなくて、それに前に1人に絞る必要があるのかなんて言っていたから。

 思えばこの人と私の関係性の始まりは、渋谷さんの好奇心から始まっている。そして、兄の友人で、渋谷さんからしたら友人の妹という共通点もあった。

 それでいて男性嫌いというのを持っていて、ただ一筋縄でいかなそうな女をゲーム感覚で使いたかっただけなんじゃない?とどうしても思ってしまう。

 それは、私のただの考えすぎ?


「なーんか難しいこと考えてんな?デート中、しかもこんなレストランでする顔じゃねぇ」


 そう言われ意識を戻し、渋谷さんの方を見た。


「あ、いや、何でもないです。にしてもコース料理なんて初めてかも」

「まあ、なかなか来ないよな」


 そう会話に戻りながらも、どうしてこんなに渋谷さんの事を考えると胸がざわざわするのか。自分にも何も理解が出来なかった。
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