初恋が始まるとき。
 夕飯を食べ終え、レストランを出た後そのまま解散する流れだと思っていた。


「ごちそうになって本当に良かったんですか?」

「いいよ。俺が誘ったし。その代わりなんだけど~」

「うわ、出た!見返り魔神」

「その呼び方やめれる?」


 いつもこの人に何かでお世話になると何かがついてくる。
 "その代わり"がこんなに怖いことあるか。

 何を言うつもりなんだと警戒していると渋谷さんはクスッと笑みをこぼす。


「もう一か所だけ付き合って。そこ行ったらちゃんと送り届けるから」

「もう一か所?どこに?」

「とりあえず車乗って」


 そう言われるがまままたどこかに拉致される私。

 何で毎度行先を教えてくれないんだ、この人は。

 車におとなしく乗り込み、シートベルトをして渋谷さんを見ると、少し笑ってから車を発進させる。

 時刻は20時前。どこに連れていかれるのか怖くて仕方がない。
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