初恋が始まるとき。
 車を走らせること大体30分ほど。

 車を降りて少し歩くと公園の中に入っていく。

 そうすると目の前には煌びやかな景色が広がっている。
 公園内は暗いから、景色がよく映えて見えた。

 夜景を見ること自体は初めてではないが、山頂から、タワーの上から見る景色とはまた違う美しさが広がっていた。

 周りに数組カップルらしき人がいるが静かで、離れて景色を見ているので周りの状況も特に気にならない。


「すご…。綺麗」

「俺も調べて初めて来た。丘の上の公園もなかなかいいよな」

「初めて、ですか?」

「こんなところ来ないし」


 そう言いながらポケットに手を突っ込んで、目の前の景色を見ている。

 女性を喜ばせることに慣れていそうで、こんなところ来るのに何も特別な事なんてないって印象を勝手に抱いていたから、少しずつ私の中の渋谷さんが変わっていくのを感じる。


「…渋谷さんって、女性とよく遊ぶんですよね?」

「まあ、それは否定しないけど。最近はしてない」

「…何で?」

「何でって、わかんない?」


 質問で質問を返してくる渋谷さんに、ずるさを感じる。

 今は私が聞いているのに、肝心なことを直接教えてくれない。

 可愛いとか、本当はどう思っているかわからないような言葉は伝えてくれるのに、私が今一番知りたいことはどこか誤魔化されている気がする。
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