初恋が始まるとき。
「てか、何で渋谷が優菜に興味あんの?」

「知らないよ。私が聞きたい」

「うーん、そっか。あんましつこいなら上司に相談したら?」

「あまり波風も立てたくないんだけど。絡まれる以外で嫌な事も無いし」

「まあ、そうだけどさ…」


 兄に相談に乗ってもらっていると紬さんがこちらに近付いてきていて「おかえり、優菜ちゃん」と優しい笑顔を向けられる。

 相変わらず癒しのオーラが出まくっていて、紬さんを見ているだけで自然の空気を吸っていると錯覚できるようにまでには…、さすがになっていない。


「ただいま、紬さん。仕事終わりで来たの?」

「そうなの。最近顔出せてなかったからって」

「毎日ここに来ても良いよ?」

「それは流石に無理かも」


 そう言って笑う紬さんに少し笑って部屋に着替えに向かった。

 私も元々は1人暮らししようかと思っていたのだけど、両親に慌てて出なくてもいいと言われてそれに甘えてしまっている。

 兄が最近までここに住んでいたからというのもあるだろうけど。

 両親も私達が大きくなってから2人で過ごす時間も増えたようだけれど、何だかんだ完全に子から離れるとなると親も寂しい気持ちだけはあるらしい。

 そんな言葉から私も月にいくらか実家に入れつつ住まわせてもらっている。
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