女神イリオネスのバイオリン
天界
 天界に着くと、大広間にいる『女神へローラ』の元へ、そっとひざまずきました。

「ただいま戻りました。女神へローラ」

 へローラは満遍な笑みを向け答えます。

「大変助かります。女神イリオネス。さぞお疲れでは?」

「いえ、そんな……」

 その会話の間、イリオネスは横に座る最高神ゼオスを見ました。

 ゼオスは震える手で、彼の自慢の『松の盆栽』から、針金でぶら下げられた短冊を、ほどこうと必死です。

 イリオネスは汗を垂らし、質問をします。

「あれは何を?」

 へローラは呆れるように笑い、訳を説明します。

「あれは女神アフディーの悪戯です。いつもああやって、困れせてばかり」

 横目で見たゼオスは、針金の結び目に、悪戦苦闘していました。

「……最高神にも、悪戯を」

「本当に困ったものです」
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