地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
驚いて立ち尽くす。

お客様が、カウンターの内側に入ってくるなんて。

それだけで、少しだけ心拍が速くなる。

「このままだと、時間がかかりますね」

彼はマシーンの中を覗き込みながら、落ち着いた声で言った。

「よろしければ、少しお手伝いします」

「で、でも……」

戸惑う私に、彼は軽く視線を向ける。

「触っても問題なければ、ですが」

その言い方があまりにも自然で。

断る理由が、見つからなかった。

「……大丈夫、です」

そう答えると、彼は小さく頷いた。

指先で、詰まった豆を丁寧にほぐしていく。

強引に引き抜くのではなく、少しずつ、崩しながら。

その手つきは、とても慣れていて。

「慣れてらっしゃるんですね」

思わず、そう言葉がこぼれる。

彼は視線を落としたまま、淡々と答えた。
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