地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
「え、ええ……少しトラブルがありまして」

軽く頭を下げる。

「でも、お客様はゆっくりしていってください」

そう言って、カウンターの中へ戻る。

袖を少しだけまくり、もう一度マシーンに向き合った。

指先で詰まった豆を崩そうとする。

けれど。

濡れて柔らかくなった豆は指にまとわりついて、思うように取れない。

無理に引き抜こうとすると、さらに奥に押し込んでしまいそうで。

思わず、小さく息をついた、そのとき。

椅子が引かれる音がした。

顔を上げると、御門さんがゆっくりと立ち上がっていた。

ジャケットを脱ぎ、椅子にかける。

その動きが、妙に無駄がなくて。

一瞬、何をするつもりなのかわからなかった。

「失礼」

そう一言だけ告げて、彼はカウンターの中に入ってきた。

「え……?」
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