地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
「これで大丈夫ですね」

彼がそう言って、軽く手を払う。

マシーンの中は、すっかり綺麗になっていた。

「……ありがとうございます」

心から、そう思った。

ただの“お客様”のはずなのに。

ここまでしてくれるなんて。

その時、ふと、気づく。閉店した店内で。

カウンターの中にいるのは、私と御門さん、二人きり。

さっきまでとは違う距離。

逃げ場のない空間。――どうしてか。

少しだけ、息がしづらい気がした。
< 12 / 90 >

この作品をシェア

pagetop