地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
直接的なのに、どこか丁寧で。

否定できない事実を、静かに突きつけられる。

「……はい」

小さく頷くと、腕の力がほんの少しだけ強まった。

「また……こうして、朝を迎えられる関係になれたらと思っています」

その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

答えようとした、そのとき。

コーヒーマシーンの音が、ちょうど止まった。

「……コーヒー、できました」

少し慌てて言うと、悠生さんは静かに腕をほどいた。

「いただきます」

カップを手に取り、一口含む。

その横顔を、つい見つめてしまう。

続けて、サンドイッチに手を伸ばす。

「この卵のサンドイッチ、美味しいですね」

「手作りなんです」

そう答えると、彼は小さく頷いた。

「さすがですね。丁寧に作られている」

その一言が、こんなにも嬉しいなんて。
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