地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
「ですが、息子には相応しくありません」

はっきりと、そう言われた。

言葉は柔らかいのに、逃げ場がない。

「どうか、諦めていただけませんか」

差し出されたのは、一枚の封筒だった。

中身を見なくてもわかる。

――お金。

それが何を意味しているのかも。

「……受け取れません」

震える声で、そう答えた。

受け取ったら、すべてを認めてしまう気がして。

「そうですか」

それだけ言って、話は終わった。

その後、彼から連絡が来ることはなかった。

何か言い訳があったのかもしれない。

事情があったのかもしれない。

でも。何も伝えられないまま、すべてが終わった。

――それが、答えだった。
< 38 / 90 >

この作品をシェア

pagetop