地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
なぜか、いつもより丁寧に、慎重に。

コーヒーを淹れていた。

御門さんがコーヒーを飲んでいる間に、私はコーヒーマシーンの扉を開いた。

中を確認して、息をのむ。

コーヒー豆が詰まっている。

しかも、お湯を含んで柔らかくなり、奥で固まってしまっている。

――これが原因だ。

簡単には取り除けそうにない。

思ったより、時間がかかるかもしれない。

時計を見ると、閉店まであと五分。

このままでは次のお客様に対応できないし、何より中途半端なままにはしたくなかった。

私は一度、店内を見渡してから、入口の札をそっと裏返した。

「CLOSED」

カチ、と小さな音がして、外と遮断される。

「……今日はもう終わりですか?」

振り返ると、御門さんがカップを手にしたままこちらを見ていた。

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