無自覚系お姫様、溺れるほどに愛され中
「ほら、めっちゃいい天気。外の空気吸いに行こうぜ」
リオ君を抱いて窓を開けると秋の爽やかな風が髪を揺らし、お気に入りのシャンプーとどこからか金木犀の匂いがした。
「でも落としたりしたら……」
思わず頭を抱えてしまった。
「大丈夫。誰に拾われたってどこに捨てられたって羽奈んとこに戻ってくるから。その辺のぬいぐるみと同じじゃないんだから心配すんなって」
リオ君のたまに出る真面目な言葉は胸に響く。すごく嬉しい。
「どーした?」
「ううん、じゃあリオ君を信じる」
失くしたり汚したり、他人に触れられるのも嫌でずっと箱入り息子だったけど、きっと大丈夫。
「お嬢様、お車のご用意はできてございます。ご登校の10分前となりました」
ドアの向こうから使用人のひとり、永井さんの声がする。
「すぐ行きまーす」
それになぜかリオ君が応えてしまい、面白いほど無言の空間ができてしまった。
「お嬢様何事ですか? 男性の声? ドアを開けてくださいませ!」
「なっ、なんでもないの、すぐに行きます!」
覚悟を決めて、大きく返事をした。
「リオ君、学校に行くなら部屋着はダメです。制服に着替えましょう」
「そこまですんの?」
リオ君の服は、自作のものと特別に作ってもらったものとが何十着とある。
迷わずうちと同じ学校の制服を着せて、靴下も靴も学園指定のスケール違いで作ってもらったものを身に付けさせた。