無自覚系お姫様、溺れるほどに愛され中
4階に着くと、先生方やご学友といつも通り簡単な挨拶だけをすませた。
いつも以上に声をかけないでオーラを強く発する。
フロアのあちこちで楽しそうな声が聞こえていると、こちらに意識が向いていないことがわかって安堵した。
無事自分の席まで辿り着くことができたけれど、問題はここからだ。
資料を碧葉君に渡さなくちゃ。
でも彼に興味津々なリオ君がぼろを出さないだろうか。
碧葉君は相手が誰であろうと何であろうと風紀を乱すことは許さないと思う。
無慈悲に私物を奪い去ることで有名な冷徹な生徒会長だ。
とにかくこれさえ渡してしまえば今日のミッションは遂行したも同然、
それ以外に接触することがなければ、昼休みは秘密の場所をみつけてリオ君といっぱいおしゃべりしよう。
すごくわくわくしてきた。
メールに添付してしまおう。紙出しは後でも不都合はないはず。
真っ先にタブレットの電源を入れようとカバーを開いたら、画面に地割れのようなヒビが入っていた。
電源も入らない。
そういえば今朝、リオ君をキャッチしようとして落としたタブレットの上を見事に踏みつけたような気がする。
心拍が上がったのを察したのか、制服の中のリオ君と目があった。
何か言いたげにふて腐れていて今にも飛び出そうだったから、慌てていちばん遠くのパウダールームへと向かかった。
「そういうのはダメって言ったばかりでしょ!」
「まだなんもしゃべってないじゃん」
リオ君は子供みたいに口をへの字に曲げてから、続けざまにこう言った。