無自覚系お姫様、溺れるほどに愛され中
少し寒くなってきた。
そういえば髪が濡れたままだ。
こんな時間にお手伝いさんを頼るのも悪いし……でももう動けない。
でも体はベッドに深々と沈んで……何もかも放り出してただ眠りたい。
「今日はもう寝ちゃおう」
ぽつり呟く。
弱音を受け入れてくれるのはリオ君だけ。
彼を抱きしめてその匂いに癒されていたら、うっかり目を閉じてしまった。
「おやすみ。何も気にしないで寝ていいよ」
男の子の声にびっくりして顔を上げると、いつの間にか私の腕をすり抜けていたリオ君が、ドライヤーを引きずりながらこっちに歩いてくるところだった。
「……もう夢の中?」
それは独り言になるはずだったのに。
「驚かせてごめんな。でもこれ現実なんだ。俺は羽奈を幸せにするために来た」
ぐぐぐ、と重そうにドライヤーと格闘しているリオ君、。
「おしゃべり機能が付いてたなんて……スイッチをうっかり押しちゃったんだよね」
「いや、どう見たってこの体は綿100%」
や、やっぱり返事が返ってくる!
「じゃあなんでおしゃべりができるの?」
「いいから。俺のこと抱きしめて寝ろって」
背中まである髪がドライヤーの温かい風に煽られると頭のなかが一瞬無になった。寒さとモヤモヤが飛んでいく。
「ふわぁ、あったかい」
晴天の空をふわふわと泳いでいる気分になる。
ほんとにもう、何も考えなくていい?
そのまま吸い込まれるように眠りに落ちてしまった。