桜の奇跡
「廉が好き。ずっと好きだから」
私はぎゅっと廉の左手を握った。


離れてしまわないように。

「ずっと…ずっと俺は未桜が好きだよ。
これからも」
真っすぐに私を見つめて廉は言った。

「そばに…そばにいたかった」
そう言うと、廉の瞳から一粒涙がこぼれ落ちた。

廉は手を離し私を抱きしめた。
ぎゅっとしてくれた。
肩越しに廉の呼吸を感じる。
温もりを感じた。

「ばいばい」
廉が体を離してそう言った。

廉は悲しそうな顔をして、でも微笑んだ。

私は廉に口づけをした。
いなくなるなんて、もう耐えられない。




その時、つよい風が吹いて花びらが散った。



目を開けていられなくなり、目を閉じた。




目を開くと、花びらが右手に一片(ひとひら)残っていた。

廉がいたベンチの場所に円を描くように花びらが舞っていた。




廉だったのか……私は眠っていたのかもしれない。




一瞬で廉がいなくなった……。

やっぱり夢だったのかな?
でも、温もりも感覚もリアルだった。
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