普通じゃ満たされない夜

第5話 みつり

店内は静かで、暗かった。

でも、彼はすぐに分かった。

「ミオ?」

低い声。

私は小さく頷く。

「来るとは思わなかった」

「……私も」

少しだけ笑う、みつり。

「でも来たじゃん」

その言葉に、逃げ道がなくなる。

少し話して、すぐ分かった。

この人は、余計なことを言わない。

でも。

一言が、やたら残る。

「君、ずっと我慢してるでしょ」

「してないです」

「してるよ」

即答だった。

私は何も言えなくなる。

「いい子でいようとする顔してる」

図星だった。

みつりは静かに言う。

「もっと欲しがっていいのに」

その一言で、
何かが崩れそうになった。
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