極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 そりゃ聖女会に来てから少しは私も触れる日用品が昇格(ランクアップ)したけど……こういう人たちって普段どんな生活してるんだか。

「支払いは済ませてあるから、なんでも好きなものを頼んで」
「あ、ありがとう、ございます? ……うっ、お、お任せで」

 それは普通、ものを選んでからすることでは――そんな疑問も値札なき恐怖のメニュー表を前に(多分聞けば答えてくれるのだろうが)あえなく吹き飛ぶ。
 青くした顔をメニュー表で隠し、選択も給仕の人に丸投げ。好きなフルーツを聞かれても無難に苺としか答えられない。

 そして、余裕のない私を見兼ねたアルベール様とぎくしゃくした世間話を繰り広げた数分後……。

 ついにひどく高貴な器のお紅茶と、真っ赤なジュレで覆われた苺ムースが運ばれて来た。

「さあ、どうぞお先に」
「で、では……」

 アルベール様の勧めに従い……私は震える右手を動かす。これどこから崩すんだ――そう迷いながら以前の自分の数十食分にも及ぶだろう、宝石のような一皿をスプーンで掬うと――。
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