極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 掴み出し、思い切り床へとぶちまけた。
 そして悲痛な鳴き声を無視すると、原型を留めなくなるまで花々を踏みにじる。

 最後に一輪だけ……完全な状態で残った薔薇は持ち上げ、元通り器の中に戻す。

「輝くのは私だけ、他の花は要らないわ。お前たち、わかったわね?」
「はっ!」「もちろんです!」
「…………」

 掠れ声で何かを呟くリナ。見下ろす私と遜るふたり。
 これが正しい。私を阻む者は居てはならない。存在するのは従う者と敗者だけ。

(でもまあ、余興くらいはあっても構わないかしら)

 どんな物語も、英雄だけの活躍では物足りない。
 ふさわしい愚か者がいてこそ、勝者の徳は際立ち、賛美される。もう一輪、萎れかけの白い花を見つけると拾い上げ、薔薇の隣に低く差した。

(ふふふ……精々無様に足掻き、枯れゆく様で私を楽しませてちょうだいな。シーリ・アンテノア)
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