極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 アンジェリカ――彼女はものすごい剣幕で肩を怒らせ、絨毯を荒っぽく踏みつけ去っていった。

 気付かれなくてよかった……咄嗟に班長の背中に隠れたのが正解だったな。
 後ろ姿を目で追う私たちに、部屋の中から穏やかな声が届いた。

「まったく、困ったものね。プライドが高いのは結構……。でも、その力を己が栄誉のためばかりに用いるうちは周囲の理解は永遠に得られないでしょう。あの子こそ、お父上の口添えと比較的戦闘向きの奇跡を扱うという事実が無くば、表彰者に選ばれることはあったかどうか」
奇跡を(オーリア)――。ルイーゼ様、ご希望通りシーリ・アンテノアをお連れいたしました」

 班長は私を連れ、堂々と開け放たれた扉から入室すると、深々とお辞儀をする。
 私はそれに倣いながらごくりと喉を鳴らす。

「ありがとうミシェル。あなたはもう戻っていいわ」

 それもそのはず。そこにいらっしゃったのはなんと先程の金盞花の三乙女のひとり、あの青髪の聖女であったのだ。

 困り顔で頬に手を添えた彼女を前に、班長は私の背中を軽く叩くと姿を消してしまった。
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