極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 マール様曰く……記憶の奇跡で閲覧できる分岐先の未来は、時期が近づくにつれ数を減らし、誤差をなくす。つまり、ここに魔物が現れることにほぼ、間違いはない。

「ただし……私が世界書の記憶より知り得たのは、この地で戦いが始まった事実まで。多くの人間の思惑が入り混じる未来ほど、想定外が起きやすくなる。もし何かあれば、お前はすぐに聖都へ戻らせるからな。その準備だけはしておけ」
「わかってます」

 特別扱いのようで気は引けるが、実戦経験の少ない新人がここに残っても大したことはできまい。彼女の隣で魔物の観察に徹することにし、私も目の前の光景に集中する。

 その内に――なんとも言い難い不気味な振動が鼓膜を襲った。

「嫌な感じ……」
「この空を引き裂く不快な音……。来るぞ、やつらだ」

 マール様がそう言うやいなや、ビヂッと――布を何重にも重ねて裂いたような音で空が裂けた。

「あ……!」
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