極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

 
 ここは、聖王国の東に伸びる街道。先は国境を越え、魔帝国と通じる。
 その道を駆ける数台の車列の先頭。一際豪華な馬車の中で、ひたすら苦汁を噛み締める我が名は――。

「……まさか、こんなことになるとはな」

 ベレニュス・ジーレット。いくつかの計算違いにより、国を左右する重要な立場から急転直下追われた男だ。私の頭には、ここ数日での出来事――人生で一二を争うほどの凶事の数々が、何度も繰り返されていた。


 ――その主たる原因となったのは、娘アンジェリカの失態。

 やつは……聖女の討伐業務中の混乱に乗じて邪魔者を蹴落とそうとし、完全に失敗。のみならず、ある禁忌まで侵した。

 魔女堕ち……。強い憎しみ、恨みなどを抱いた聖女が何らかのきっかけで奇跡の力を邪なものへと変質させ、消しようのない痕を肩口に刻まれる。国内でも、過去に数件その事例は発生し、そうなった者は例外なく聖王国から魔帝国に引き渡されている……奴隷として、だ。
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