極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 こうなれば……もう取れる手段はひとつ。魔帝国へと逃亡し、そこで再起を図る。
 残り僅かな財を使ってなんとしてでもあちらの権力者に取り入り、そこからまたのし上がってやる……。

(ああ……またワインの代わりに靴を舐め、犬のように媚びへつらう日々が始まるのか。いや、それでも構わん。庶民のように慎ましく、今ある金で平凡な余生を送るなど、まっぴらだ! 世の中の凡俗な愚民どもめ、待っていろ。このベレニュス、ジーレットが再び歴史の表舞台に姿を現す時を……!)

 私は自らを信じている。一時は沈もうと、また必ず成功し高みへ浮上する選ばれたし者なのだと。
 魔帝国の国境が近づいた。聖王国のそれとは違い、おどろおどろしい様相で近づく者を威圧する、不気味な門。

 だが私は躊躇わず馬車を進めさせ、一通の書状を持たせた配下を警備兵の元へやる。
 あれは密書。門はすんなりと開き、私は賓客扱いで帝国内へと迎えられる。

「――ぎゃあぁぁぁっ!」
「ぬ⁉」

 そのはず、だった。
 配下の絶叫に、私の身体の血が激しく巡る。今のは誰かに……身体を切り裂かれたような――。
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