極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 気合を込めた呼吸と銀の斬閃。
 黒塊は真っ二つに立ち割られ、剣が振り下ろされたのだと気付くのに少しかかる。驚くことにそのひと振りで魔物は消滅してしまった。物理的な攻撃は効かないんじゃなかったの……?

(わぁ……)

 後に残った紙吹雪が風に巻かれ、空へと散らばっていく。

 取り巻かれた白い人影が剣を鞘に収めて振り返り、にこりと微笑んだ。
 仕立てのいい制服は何か組織への所属を示していたが、それよりも女性と見紛うほどの美しい容姿に、私は言葉を失う。

 後ろで結った金の長髪、下に覗く優しげな紫の瞳と優美な唇。細面の下から伸びる体躯はすらりとして高く、どこからどう見ても極上の美青年だ。

 息ひとつ乱していない彼は、おもむろに近づいてくるとじっとこちらを見つめてくる。

「……ど、どうも」

 そしてその後、お礼を言おうとした私を前に……驚きの行動に出た。
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