極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 馬車の揺れる窓枠にもたれ掛け、密かに吐いた感慨の溜め息は、隣に座る人にも伝わってしまったようだ。

 今言葉を発したのは、流れる金髪を後ろ首で結わえた、ただごとではない美青年。
 彼の名は、アルベール・セイモア。この聖王国を守る聖騎士団の団長であり……継承権は持たないにせよ、この国の王妃様の血を引くという、とんでもなくスゴい御方。

 それで……こうしてぼんやりと浸っていた私の方は、シーリ・アンテノア。
 前世、異世界の日本で交通事故に遭って死んだ後この世界に引き寄せられ、亡くなった赤ん坊の身体に魂だけが吸い込まれた……いわゆる転生者。

 私が聖女であることが発覚したのは、たった半年ほど前。
 なのに、そんな未熟者がつい先日、たくさんのエライ人たちと世界の崩壊を止めるハメになるなんて。

 おかげで、周りと比べて滅茶苦茶なスピードで昇進してしまったり、同期の侯爵令嬢に敵視されて殺されかけたりととんでもない目にあうことになったけど……。
 正直、私自身は奇跡を使えることを覗いたら普通の人間だもの。達成したい目的こそあるけど、とくに壮大な野心なんて持ってない。
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