極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 どうやら、前線への補給に使う山道の一箇所が災害により通行止めとなり、そこを奇跡で補修してから砦に合流するとのこと。その準備作業に追われつつ夜を迎え、寮の窓辺から静かになった大聖殿の敷地を見下ろし、不安を紛らわしていると……。

(誰か来た? こんな時間になんだろ?)

 ポピアはもうシーツに包まって寝ちゃってるし……。起こさないように私はそうっと足音を忍ばせて、控えめにノックされた扉を開けた。すると……。

「マール様……?」

 気の抜けたような顔で彼女が、ぼんやりとこちらを見ていた。

「あの……どうしました? ご相談でもあるなら、お茶でも……えっ⁉」

 そのまま、マール様の身体がぐらりとかしいで。
 私は縋りついた細い胴体を受け止めながらびっくりする。彼女は膝を崩し、動揺する私を前に弱々しい掠れ声を漏らしだした。
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