極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 何がじゃあいいやなのか――とりあえずほっとした様子の彼と一緒に先を歩く。なんだか一瞬変な雰囲気になっちゃったな。

 しかし、初めて見る魔帝国の街って、陰があるっていうか……遠慮なく言うとなんだかちょっと寂れてる。家屋の色は黒ずんだものが多くて、人々の纏う服も、グレー、茶色、紫とか……こういっちゃなんだけど結構怪しげ。

「魔帝国では、聖王国とは反対に、黒や灰色が親しまれている。その中でも、光を映さない漆黒は、真の黒として、魔女たちや貴族たちが好んで纏う色だ。国民も暗い色調の方が落ち着くみたいだね」

 いわばここは、逃亡者たちの土地だから――そう言われると少し共感が湧かなくもないかな。私も目も眩むように派手な聖都には未だに完全に慣れ親しんだとは言い難いし。意外と魔帝国民さんたちとは気が合うのかも。

 そんなおかしなことを考えつつも訪れたのは、一件の酒場だ。店内は薄暗く、酒とたばこの匂いに満ちている。ここもどちらかというと、静かにゆったりお酒を楽しむ人が多い。

(わあ……聖都でもこういうところには来たことがなかったな)
(兵士らしき人間がいる。シーリは、なるべく話さず大人しくしておいて)
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