極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 耳打ちに頷きで答えると、アルベール様はシェイカーを操るバーテンダーに話しかけた。

「こんばんは。少し訪ねたいことがあるんだけど、いいかな」
「ここは酒場だぜ。まずは酒を頼みな」
「……そうだね。じゃ……僕は麦酒、彼女にはレモン水を」
「あいよ」
 
 カウンターに腰掛けると、一分もかからずに飲み物が用意され、私はちびちびとそこに口を付けながら成り行きを見守る。うっすらと蜂蜜の甘さがして、それがレモンの酸味とマッチし、旅の疲れを癒してくれる。

「あんたら、ここらのもんじゃないな」
「あ、うん。僕らは旅の夫婦でアルとシェリー。国境付近の村に住んでたんだが、最近情勢がどうもきな臭いじゃないか……今のうちに妻だけでも帝都の方、安全な実家に非難させたいと思ってね」

 ふうん……そういう筋書きなの?
 話を合わせて偽の素性を語る彼が、バーテンに渡そうとあるものを取り出し、私はそれを必死で止めた。

(ちょっ、アルベール様⁉)
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