極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「フフフ、しかしアンタ……間近で拝めば本当に聖都でも滅多に見ないほどの男前だねぇ。どうだい、そんな小娘捨ててアタシに尽くさないか? そうすれば……情夫としていい目を見させてやるよぉ?」

 真っ赤な唇をぺろりと舐め、彼女がアルベール様を誘惑する。

「ハッ……」

 だが彼は……それを一笑に付してみせた。

「生憎と、下品な女は好みじゃなくてね。君に買われるくらいなら、舌を噛んで死んでやるさ」
「言ったねえ! ヒヒ、その意地、どこまで通せるかふん縛って試してやる!」

 すでに帝国兵の囲いも私たちの数歩圏内にまで近づいている。それがじりじりと迫り……。
 嬲るように近づいて来たヴィーナの指先が……私を抱えたアルベール様の頬に触れようとした刹那――。

「君らにも聞こえるように、少し音量を上げてあげようか。……シーリ、耳飾りのリングを右に回して」
「なにぃ?」
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