極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 ドッ……と鈍い感触がして……刃は埋まった。
 キャンバスを裂くのではなく、ラエルさんの肩口へと。
 お母さんの肖像の髪の上に、朱い血の跡が飛んだ。

「『邪魔しないで! この人のせいで、私とお父さんは――!』」

 今や内にある存在と、私は、完全にこの身体を共有していた。
 なおも刃を振りかざそうとして、血塗れの刃を持つその腕が凍結する。

「やはり、あの子と同じ力を使うのだな……」
「陛下、いいのです」

 魔女帝がこちらに指を向けていた。
 だが、ラエルさんはそれを視線で制止すると、あくまで穏やかに……。
 私の肩を押しとどめたまま何度も語り掛けた。

「落ち着いてくれ……俺たちは敵ではない。複雑な事情があったんだ。それを今から説明させて欲しい。あの時……本当のことを言えなくて、済まなかった」
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