極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 妹に可愛がられては姉の面目も立たぬと、魔女帝は苦笑する。私たちも近くに寄り、腰を下ろした。草花のシートが、身体を優しく支えてくれる。

「あの娘を見初める者はまこと多く、そして……いつしか当たり前のようにある男と愛を育んだ。このラエル、そしてシーリ……お前の父親となった男の名は、フレドといった」
「フレド……父さん」

 私はその名を口内で幾度か転がす。

「フレドは……魔法こそ使えぬものの、ホルドキア領随一の剣の使い手。我らが父、先のホルドキア領主に目をかけられ、領騎士団の長を務めるようになると、次第に屋敷に出入りする内にクラリスと恋仲になっていった。フレドのことを話す時のあやつの顔は、他の心まで和ませるような幸せに満ちておった。そして……天は急ぐように、ふたりにラエルをお授けになったのだ」

 魔女帝は、花畑をぬくめる陽の光を眩しそうに見上げた。その瞳に映るのは、過去への憧憬か。戻れるものなら……そんな彼女の苦しみが、映し出されているような気がする。
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