極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 ラエル兄さんが開いた帝都の地図、そこに描かれた月映宮を魔女帝の黒い爪が差す。

「内部で強力な魔女が待ち構えていようと……交戦は免れん。先程言った通り、足手まといになるような者は置いてゆく」

 たとえ自分ひとりだけでも残ろうと、メナを倒しに行く――魔女帝はそう宣言し、そこからの言葉をラエル兄さんが継いだ。

「内部にいく人選は絞る。陛下、俺、シーリ……そして、アルベール。この四人を中心とし、それと魔女と魔法騎士からなる精鋭を二十ほど。大規模な魔法の行使は場所を選ぶ……入り組んだ城内では俺たち騎士の出番もあることだろう。準備はいいな、アルベール」
「ああ、もちろん」

 私の隣で胸を叩くのは、先日ヴィーナの監視を無事終えてこちらに合流したアルベール様。
 ティリシャ様から受け継いだ奇跡でこの軍勢の場所を探り当てた彼だったが、数日間の諜報活動でも疲れている様子はなく、いたって元気。

「僕も、シーリとの出会いで自分の秘めていた力に気付かされたんだ。そこいらの魔女に遅れはとらないよ。安心して矢面に立たせてくれ」
< 591 / 840 >

この作品をシェア

pagetop