極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「……そういうことか」

 ぴりっと空気が張り詰め、魔女帝の背中からただならぬ気配が漏れる。

「メナ・アルシェーヴ。そうか……やつが魔女帝の座を欲したのも、あれを操る術を得んがためか」
「陛下…………」

 魔帝国側のふたりの緊迫した表情からするに、よほどの大ごとらしい。
 そこで、アルベール様がぼそりと声を掛けた。

「陛下、それはもしや魔帝国に伝わるという……世界書と同格とも言われる秘宝のことなのでは。噂には聞いたことがあります。誰が作ったも分からぬ太古の恐るべき力を持った魔道具が、一度も使われぬままこの宮殿に現存していると」
「さよう。月映宮の最上階、黒い月より最も近き祈りの間に存在せし至宝……その名も“虚無の在処 (ヴォアベセル)”。この世が生まれしその時から、沈黙のまま大地を睥睨(へいげい)せしめる魔の器なり」
 
 魔女帝はいきなり直立不動の甥の首からすぽっとペンダントを抜き出す。
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