極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 ――世界の再構築。
 それは今を生きる人々が築いた努力や絆を根こそぎ奪い去り、空っぽの偽物で満たそうとする行為に他ならない。

 例え、元は原初の聖女が作り出した容れ物に過ぎなかろうと、今はこうして何百年以上も数多の命が血と汗を流し、築き上げた社会が存在している。誰であろうとそれを奪い去っていいはずがない。

「ルイーゼ……君だけはそのまま共に次の世界に連れてゆくつもりでいた。兄さんのためにもね。でも、君自身がそれを望まないのなら……もういい。不要なものは全部棄てて……作り直した世界で私たちは全てを忘れて幸せに過ごすよ。さあ……過去よ、消えてくれ」

 もう、会話による説得は通じない……。

 すっと――メナの瞳に残る微かな人間性が消え。
 これから始まる凄惨な戦いの予兆が、死の気配として背中に吹きつけられた気がした。
< 679 / 840 >

この作品をシェア

pagetop