極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 咄嗟に息を詰めた。
 だが、硬い靴音が響いてしまい、傍らで女性の寝顔を見下ろしていた少年が振り返る。

「――ちっ!」

 激しい舌打ちをした彼は、こちらを強い憎しみの籠る目で睨むとすぐさま隣をすり抜け外へと消えていった。

(かける言葉も無いな……)

 僕は情けない自分に首を振ると寝台に歩み寄り、力ない笑みを浮かべる。

「ティリシャ様、この声が聞こえていますか。今日も王国は平和です。あなたのおかげで……」

 花束を花瓶に生けられたものと取り換え、窓から空気を入れ替える。
 この活気が、少しでも彼女の生きる力になればいいのだが。ベッド脇の椅子に座り細くなったその手を握ってみるも、やはり反応はない。

 鈍く心が痛む。
 それを紛らわすように僕は両手で顔を覆うと、幾度となく胸に浮かべた誓いを、そのまま繰り返す。
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