男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

その人が、私を見た。

瞳が夜みたいに深い。


「お前が月城か」

低い声。

私は思わず背筋を伸ばした。


『……はい』


その人は一歩近づいて、私の顔をじっと見た。

まるで、何かを見抜こうとするみたいに。


「眼鏡、外せ」

息が止まった。


『……え?』

「聞こえなかったのか?外せ」


心臓が鳴る。

眼鏡は私の盾だ。顔を隠すための。

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