男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

思わず顔を上げた。

『……そんな、いいです』


玲「いいのいいの。俺がそうしたいだけ」

朝霧先輩は笑って立ち上がる。


玲「じゃ、また後で。無理しないんだよ」

そう言って、朝霧先輩は教室を出ていった。


私は手の中にあるココアを見つめたまま、手を震わせた。


……どうして、こんなに優しくするの?

優しさは怖い。

優しさの後には、いつも――。


ぎゅっと目を閉じ、頭を振った。


違う。

ここは、あの場所じゃない。

分かっているのに、心がついてこない。

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