男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

中には、シンプルなおにぎりと卵焼き、ウインナーが入っていた。

手を伸ばして、口に運ぶ。


――でも。

喉が拒絶した。

おにぎりを持ったまま固まる。


朝霧先輩はその様子を見て、そっと息を吐く。

玲「食べるの、嫌い?……それとも、怖い?」


答えられなかった。

答えたら、崩れる気がした。


沈黙が落ちる。

その沈黙を破ったのは、朝霧先輩の軽い声だった。


玲「じゃあさ、今は飲み物だけにしとこ。とりあえず、これあげる」

そう言って、ホットココアを手渡された。

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