敗戦の姫ですが敵国の皇帝に狂おしく溺愛されて逃げられません

第2章 初夜と独占

夜が明けても。蒼玄は、私を離さなかった。

寝台の上で、抱き寄せられたまま。逃げる隙など、どこにもない。

「ああ、蒼玄様……」

掠れた声が漏れる。

つい昨日、この人に触れたばかりなのに。

もう何度、この温もりに包まれただろう。

肌が触れるたびに、体の奥まで熱が満ちていく。

「玲華……」

低く、囁かれる。

「……また愛せる」

その言葉に、胸が震えた。

(どうして……)

ただの人質のはずなのに。

ただ義務として抱かれているだけのはずなのに。

触れられるたび、この人の想いが流れ込んでくるようで――

逃げられない。

離れられない。

「……っ」

抱き寄せられる腕が、さらに強くなる。

まるで、離す気など最初からないように。
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